幸せに暮らしたい日記

未経験を一つでも減らしてから死にたいのに、小心者すぎてスマホという窓を通してしか世界を見ることのできない日々をそろそろやめたい人の心の叫びとメモ

彼のこと。

 

台風が行ってしまって

 

顔に吹き付ける風が少うし冷たくて

 

 

こんな日には決まって

彼を思い出すのです

 

 

昨日何気なく入った

四条のプロント。

 

そこで『痴人の愛』を片手に

パスタを食べながら

はたと気づきました。

 

 

そういえば私は去年の今頃も

ここでポツネンとしていたな、と

 

 

それは紛れもなく

彼に京都市立美術館デートを

すっぽかされたからで

 

あと2時間待ってもらえたら行けます

の一言を信じて

 

結局暗くなるまでカフェに

引きこもっていたのです

 

初デートになるはずでした。

 

あれから1年経つわけです。

 

 

 

これまでに

彼と行った場所は

全部覚えています

 

 

 

少ないから。

 

 

 

グランヴィア

三井ガーデンホテル別邸

なんか和食屋さん

なんかのアジアンカフェ

なんとか珈琲

京都ガーデンパレスが二回

京都御所

なんかのイタリアンの店

京都駅のもつ鍋屋

 

 

四条の裏通りで突然手をつながれたり

 

いつも帰り際に両手で頬を挟まれたり

 

怒っているの?と覗き込まれたり

 

小さな川に膝カックンで

突き落とされそうになったり

 

私がぜんぜん違う方向に歩いてるのに

声をかけずにニヤニヤ観察されていたり

 

 

何もかも普通ではありませんでした

 

移動はいつもタクシーで

 

電話もラインも全くつながらない

 

お昼の街は二度しか

一緒に歩いたことがありません

 

 

向こうの都合のいい時だけ

連絡が来る

 

私はそれにどこまでも合わせて

時には終電後の夜中に

三条駅までタクシーを飛ばしました

伏見区から。

 

 

最後に会った彼は

知り合ってから初めて見るスーツ姿で

クロアチアで買ったという

大層良い香りのジェルで

前髪を上げて

 

店の入り口で彼を探して視線を泳がす私に

笑顔で片手をあげました

 

私の好きな食べ物がすでに

机いっぱいに並べてあって

 

だけど私は幸福感でもう満腹で

 

それでも無邪気を装って

全部美味しいね、と平らげました

 

タクシーで蛤御門前の

ガーデンパレスに移動

前と同じ和室へ。

 

 

彼は一日に二本だけ煙草を吸うので

 

一本ちょうだいと言ったら

 

どうぞ、といって、

その下手くそで

滑稽な吸い方を笑いました。

 

 

 

 

昼まで眠って

タクシーを捕まえて

 

さようなら

 

 

それが彼との最後でした。

 

 

 

 

夏は一度も会えず

 

彼の、私の好みに

ピシャリと嵌った背中に似合うだろう

Tシャツ姿を一度も見ることなく

 

とうとう秋がきたのです。

 

 

 

最近私はまた

彼と同じような、正体のわからぬ人と

とてもふわふわとした日々を送っていて

 

こんな気持ちも悪くはないなと

思っていた矢先

 

俺を忘れるなと言わんばかりに

 

 

「今なにしてますか?」

 

 

と、半年以上ぶりに

 

彼からのメッセージが

iPhoneの画面を照らしました

 

 

目を疑いました

 

 

 

それからは手が震えて

 

しばらくその辺に

iPhoneを放っておいたけれど

 

 

会いたさに負けて

 

今から会社を出ます、と

返事をしました

 

それからまた返信がなく

 

私が眠りに落ちて10分後に

再度

 

「今なにしてる?」

 

と連絡が来ていたことを

朝知りました。

 

 

 

私はその時思ったのです。

 

 

 

私は彼の都合のいい女であるには

違いないのだけれど

 

彼は私を忘れてもいなければ

嫌いにもなっていない

 

会いたくない女ではないし

 

ちょっとは会いたくて

 

 

むしろ、本当はちょっと

愛しく思ってるのじゃないかと。

 

ちょっとだけでも。

 

 

 

彼はよくしゃべるくせに

ひどく不器用で

 

 

そんな彼が、たまらなく好きで

 

今なにをしているのか

次いつ会えるのか

次はあるのか

 

そんな不安を私に常に与える人だから

 

だから彼を

いつまでも好きでいられるのです

 

あまりの会いたさに

会社から家まで号泣しながら

電車に揺られるくらい

 

好きでいられるのです。

 

半分これはもう

執着とも言えるのでしょうが

 

 

ひとつだけ

彼に言いたいことがあるとすれば

 

私以上に

あなたに会いたいと思っている女が

他にいると思うな

 

ということです。

 

 

 

次会えたら

 

なにを話そう

 

 

なにも話さなくてもいいから

 

ひたすら手をつないでいたいです

 

 

嫌がられても

それが最後になっても後悔のないように

好きなだけ手をつないで

 

 

いつも好きよ、と

伝えなくてはと思います。