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幸せに暮らしたい日記

未経験を一つでも減らしてから死にたいのに、小心者すぎてスマホという窓を通してしか世界を見ることのできない日々をそろそろやめたい人の心の叫びとメモ

可哀想なキウイ

 

この人の隣で

朝を迎えたくないと思った

 

なぜならそれは

この夜が永遠に続けばいい

と思ったから

 

 

朝日に照らされる

その人の輪郭や

凹凸の強い顔の陰影

いかり肩の描く線は

いつもとても美しいのだけど

 

それはつまり

昨夜の終わりを突きつける風景

 

不安定で、答えのない時間の

始まりを告げるから

 

 

その静かな呼吸や

眠りの最中、

ふいに訪れる小さな痙攣

 

そんな穏やかで

揺るぎのない安らぎを感じながら

 

これが私の最期ならと

願わずにいられない

 

 

しっかりとした肩甲骨の間に

顔のすべての皮膚を押し付けて

 

このまま張り付いて

いつか剥がれなくなってしまえと

 

そんな悪い夢まで見たくなる

 

 

 

「キウイほどかわいそうな果物はない」

 

と眠る前にあなたはいった

 

真ん中へ包丁を入れるだけで

スプーンで掬えば

器にまでもなってくれる皮

 

 

種さえも

総て残らず

食べ尽くされて

 

 

食べられるためだけに

生まれてきたようだ

 

かわいそうだ、と

 

 

 

 

でもきっと、あなたは

そんなキウイが嫌いじゃないんだろう

 

 

半分に切っただけで

器まで用意してくれる

総てを平らげさせてくれる

 

その単純かつ慈悲深いキウイを

 

かわいそうだと言いながら

 

あなたはきっと

笑顔で食べ続けるんだろう

 

 

単純で

楽で、簡単で、

すぐに総てを

笑顔で差し出すから

 

 

 

キウイはかわいそうだと

あなたは神妙そうに言ったけれど

 

 

たぶんキウイは

かわいそうではないと思う

 

 

きっとその身を

喜んで差し出し

あなたに自由にされることを

心から望んでいるはずだ

 

 

口のないキウイ

言葉を持たないキウイ

 

 

あなたの前で真っ二つに開かれて

あられもなく食べ尽くされて

 

 

 

かわいそうなものは好きですか

 

本当に好きなものはなんですか

 

それは手に入らないんですか

 

もっと難しいものが好きですか

 

 

 

 

今日も月は半分で

 

あなたの空は曇っていたかしら

 

こちらはどこまでも澄み渡る黒でした

 

続いているはずの空

 

 

お願いだから

明日もどこかで

健やかに生きていて